3 電波の利用動向 1 使用状況及び無線局数 1 我が国の電波の使用状況 ●我が国の周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴 周波数は、国際電気通信連合(ITU)憲章に規定する無線通信規則により、世界を 3 つの地域に 分け、周波数帯ごとに業務の種別等を定めた国際分配が規定されている。 国際分配を基に、電波法に基づき、無線局の免許の申請等に資するため、割り当てることが可能 である周波数、業務の種別、目的、条件等を「周波数割当計画 *1 」として定めている。同計画の制 定及び変更に当たっては、電波監理審議会への諮問が行われている。 我が国の周波数帯ごとの主な用途と特徴は、図表 4-3-1-1 のとおりである。 図表 4-3-1-1 我が国の周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴 降雨で弱められる UHF FM放送(コミュニティ放送)、防災行政無線、消防無線、 警察無線、列車無線、航空管制通信、簡易無線、 アマチュア無線、コードレス電話 VHF 短波放送、船舶・航空通信、アマチュア無線 短波 携帯電話、ローカル 5G、衛星通信、衛星放送、 固定間通信、放送番組中継、レーダー、 電波天文・宇宙研究、無線LAN(5GHz帯)、 無線アクセスシステム、ETC、ISM 機器 マイクロ波 中波放送(AMラジオ)、船舶・航空通信、 アマチュア無線 中波 衛星通信、レーダー、 簡易無線、電波天文 ミリ波 標準電波、 航空機用ビーコン 長波 波長 周波数 超長波 VLF 長 波 LF 中 波 MF 短波 HF 超短波 VHF 極超短波 UHF マイクロ波 SHF ミリ波 EHF サブミリ波 10km 30kHz (3 万ヘルツ) 1km 300kHz (30 万ヘルツ) 100m 3MHz (300 万ヘルツ) 10m 30MHz (3 千万ヘルツ) 1m 300MHz (3 億ヘルツ) 10cm 3GHz (30 億ヘルツ) 1cm 30GHz (300 億ヘルツ) 1mm 300GHz (3 千億ヘルツ) 0.1mm 3000GHz (3 兆ヘルツ) 100km 3kHz (3 千ヘルツ) 利用技術の難易度 伝送できる情報量 電波の伝わり方 難しい 大きい 直進する 国際電気通信連合(ITU)による周波数の国際分配の決定(無線通信規則等) 国際分配に基づく国内分配の決定(総務省・周波数割当計画等) 主な利用例 小さい 障害物の後ろに回り込む 易しい TV 放送、携帯電話、PHS、防災行政無線、警察無線、 移動体衛星通信、MCA システム、タクシー無線、簡易無線、 レーダー、アマチュア無線、無線LAN(2.4GHz帯)、 コードレス電話、電子タグ、ISM 機器 周波数帯 波長 特徴 超長波 10~100km 地表面に沿って伝わり低い山をも越えることができる。また、水中でも伝わるため、海底探査にも応用できる。 長波 1~10km 非常に遠くまで伝わることができる。電波時計等に時間と周波数標準を知らせるための標準周波数局に利用されている。 中波 100~1000m 約 100km の高度に形成される電離層の E 層に反射して伝わることができる。主にラジオ放送用として利用されている。 短波 10~100m 約 200~400km の高度に形成される電離層の F 層に反射して、地表との反射を繰り返しながら地球の裏側まで伝わっていくことが できる。遠洋の船舶通信、国際線航空機用の通信、国際放送及びアマチュア無線に広く利用されている。 超短波 1~10m 直進性があり、電離層で反射しにくい性質もあるが、山や建物の陰にもある程度回り込んで伝わることができる。防災無線や消防 無線など多種多様な移動通信に幅広く利用されている。 極超短波 10cm~1m 超短波に比べて直進性が更に強くなるが、多少の山や建物の陰には回り込んで伝わることもできる。携帯電話を初めとした多種多 様な移動通信システムを中心に、デジタルテレビ放送、空港監視レーダーや電子レンジ等に幅広く利用されている。 マイクロ 1~10cm 直進性が強い性質を持つため、特定の方向に向けて発射するのに適している。主に固定の中継回線、衛星通信、衛星放送や無線 LAN に利用されている。 ミリ波 1mm~10mm マイクロ波と同様に強い直進性があり、非常に大きな情報量を伝送することができるが、悪天候時には雨や霧による影響を強く受 けてあまり遠くへ伝わることができない。このため、比較的短距離の無線アクセス通信や画像伝送システム、簡易無線、自動車衝 突防止レーダー等に利用されている他、電波望遠鏡による天文観測が行われている。 サブミリ 0.1mm~1mm 光に近い性質を持った電波。通信用としてはほとんど利用されていないが、一方では、ミリ波と同様に電波望遠鏡による天文観測 が行われている。 *1 周波数割当計画:https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/share/index.htm 3 電波の利用動向 令和 3 年版 情報通信白書 2 344 ICT4