コラム 1-1-7②図 価格転嫁力指標と労働生産性の関係性(企業規模別、業種別)
| 企業規模・業種 | 期間 | 価格転嫁力指標 (%) | 実質労働生産性 (%) | 一人当たり名目付加価値額 (%) |
|---|---|---|---|---|
| 中小企業・製造業 | 2016~18 | 1.1 | 0.0 | 0.3 |
| 2019~21 | 0.0 | 0.0 | 0.3 | |
| 2022 | 0.3 | 0.0 | 3.4 | |
| 2023(年度) | 3.4 | 0.0 | 3.4 | |
| 中小企業・非製造業 | 2016~18 | -1.1 | -0.8 | 0.0 |
| 2019~21 | -0.8 | 0.0 | 0.0 | |
| 2022 | 3.2 | 0.0 | 1.4 | |
| 2023(年度) | 1.4 | 0.0 | 1.4 | |
| 大企業・製造業 | 2016~18 | 1.6 | 3.2 | 1.0 |
| 2019~21 | 3.2 | 0.0 | 1.0 | |
| 2022 | 1.0 | 0.0 | 5.9 | |
| 2023(年度) | 5.9 | 0.0 | 5.9 | |
| 大企業・非製造業 | 2016~18 | 2.5 | -2.1 | 0.0 |
| 2019~21 | -2.1 | 0.0 | 0.0 | |
| 2022 | 9.3 | 0.0 | 12.5 | |
| 2023(年度) | 12.5 | 0.0 | 12.5 |
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」「企業物価指数」「企業向けサービス価格指数」「最終需要・中間需要物価指数」、総務省「消費者物価指数」「産業連関表」、財務省「法人企業統計調査年報」
(注) 1. ここでの大企業は資本金10億円以上、中小企業は資本金1千万円以上1億円未満の企業をいう。
2. 「一人当たり名目付加価値額」の前年度比変化率から、「価格転嫁力指標」の変化率を除いた差分を「実質労働生産性」の変化率として表示。「2016~18」「2019~21」は各年度の前年度比変化率を平均した数値を表示している。
3. 一人当たり名目付加価値額 = 付加価値額 ÷ (期中平均役員数 + 期中平均従業員数)。
3. マークアップ率の分析結果
マークアップ率とは、名目限界費用(企業が製品・商品・サービス1単位を追加的に生産・提供するときに必要な名目費用)に対する販売価格の比率を指すものである。企業が名目限界費用を上回る販売価格を設定できているとき、マークアップ率は1倍を上回り、この水準が高いほど、費用構造に応じた適切な価格設定を行って利益を確保できている状態を表す 62 。
マークアップ率を推計するには、企業の限界費用を正確に計測する必要があり、労働・資本・原材料といった資源投入量に対する生産量の関係性を示した生産関数を正確に推計することで、限界費用を計測することができる。本事業では、内閣府(2023)、Nakamura and Ohashi(2019)と同様の手法により、売上高などの財務データを用いて、企業の最適化行動(収益最大化・費用最小化)を前提とする生産関数を推計することで、マークアップ率を推計した。なお、生産関数の推計は、青木・高富・法眼(2023)と同様に、企業規模別・業種(中分類)別で行っており、推計した個社ごとのマークアップ率を積み上げることで、企業規模別・業種(製造業・非製造業)別の数値を算出している 63 。
62 マークアップ率の算出式において、分子に当たる販売価格を引き上げる取組だけでなく、分母に当たる限界費用を生産プロセス改善等により低減させる取組を通じても、マークアップ率は向上する。
63 生産関数の推計に当たっては、De Loecker and Warzynski(2012)、Levinsohn and Petrin(2003)なども参考にしている。詳細は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(同)「令和6年度中小企業実態調査事業(中小企業の価格転嫁状況を把握する指標開発のための調査・分析)調査報告書」を参照。