コラム
1-1-10 事業承継税制
事業承継税制は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、「円滑化法」という。)に基づく認定の下、会社や個人事業者の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度である。
同税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」がある。
活用に当たっては、特例承継計画・個人事業承継計画の提出が必要であり、計画の提出期限は2026年3月31日までとなっている。
1. 法人版事業承継税制
法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件の下、その納税を猶予するとともに、後継者の死亡等の一定の事由が生じた場合に、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。
同税制は、平成30年度税制改正で抜本的に拡充された。具体的には、これまでの措置(以下、「一般措置」という。)に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)等を認める「特例措置」が創設された。
なお、本税制の適用に当たって、後継者は株式贈与時に役員就任後3年以上経過している必要があったが、令和7年度税制改正において、「特例措置」に限って役員就任要件が事実上撤廃され、後継者が贈与直前に役員に就任した場合にも適用が認められることとなった。
コラム
1-1-10①図
法人版事業承継税制の「特例措置」と「一般措置」の比較
| 特例措置 | 一般措置 | |
|---|---|---|
| 事前の計画策定 |
特例承継計画の提出
2018年4月1日から 2026年3月31日まで |
不要 |
| 適用期限 |
10年以内の贈与・相続等
2018年1月1日から 2027年12月31日まで |
なし |
| 対象株数 | 全株式 | 総株式数の最大3分の2まで |
| 納税猶予割合 | 100% |
贈与:100%
相続:80% |
| 承継パターン | 複数の株主から最大3人の後継者 | 複数の株主から1人の後継者 |
| 雇用確保要件 | 弾力化 |
承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要 |
|
経営環境変化に
対応した免除 |
あり | なし |
|
相続時精算課税の
適用 |
60歳以上の者から18歳以上の者への贈与 |
60歳以上の者から18歳以上の
推定相続人・孫への贈与 |
資料:中小企業庁作成