事例

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GXへの自発的な取組で、従業員の意識向上と事業拡大を実現している企業

所在地 岡山県岡山市
従業員数 233名
資本金 1,000万円
事業内容 金属製品製造業

備前発条株式会社

▶ 環境に配慮したものづくりの要請がいずれやってくる予測し、GXに向けた取組を決意

岡山県岡山市の備前発条株式会社は、1949年に農機具向けのバネ生産で創業し、現在はヘッドレストやアームレストなどの自動車部品を中心に製造する企業である。山根教代社長は2019年に父の後を継いで社長に就任したが、直後に新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」)の感染拡大により工場の操業停止に見舞われた。今後の経営方針について頭を抱える中、欧米の環境意識の高さや米国の多国籍IT企業が脱炭素を調達基準に据えたことを知り、環境に配慮しないものづくりでは取引先や社会の要望に応えられず、将来的に仕事を失うリスクにつながるのではないかという強い危機感を覚えた。また、学校でSDGsを学ぶ我が子からの「このままで地球は大丈夫か」という純粋な疑問に答えられなかったことも、環境に配慮した取組を決意するきっかけとなった。

▶ 社内で「SDGsチーム」を結成し、全社横断的にCO2削減の取組を加速

最初の取組は、2020年に受けたCO2削減ポテンシャル診断であった。社内設備のCO2排出量の削減余地が大きいことを知り、具体的な取組に向けた準備を進めてきた。その後、2023年に社内各部署から約10人を選抜して「SDGsチーム」を設置。SDGsやGXのために何ができるか、自分たちの考えや思いを形にすることから取り組み始め、CO2排出量を経営の目標値に設定したことで、CO2削減の取組が加速した。優秀な専門人材の入社も後押しとなり、CO2排出量の「みえる化」は専門人材が中心となって、スコープ1、2の排出量把握やCO2削減のロードマップ策定を実現。CO2削減に向けて自走する体制が構築できた。また、本社・工場内の照明のLEDへの切替えや、塗装プラントの設備をより燃料効率の高いものに更新するなどの取組を行い、2023年はCO2排出量を約19t削減した。2024年は新たにCO2フリー電力の購入も行い、前年比6.9%(約127t)の削減、売上高当たりのCO2排出量(炭素強度)は、2019年比で約34%の減少を見込む。自分たちでアイデアを出して進める同社のGXの取組は、CO2を出さない技術開発にも発展。製品の溶接を、熱源を使わないカシメによる接合に置き換えることで省エネを実現する新技術開発は、外部機関との連携やGo-Tech事業を活用し、実用化を目指している。

▶ GXに向けた自発的な取組は、従業員の意識向上や採用、業績にも好循環

従業員のアイデアに基づく自発的な取組でCO2削減を達成するという自己実現の積み重ねは、従業員の意識向上や、更なる取組のアイデアが出てくる好循環につながっている。また、こうした取組を同社公式サイトや展示会出展等で積極的に情報発信した結果、2024年には5人の採用につながったほか、既存の取引先やこれまで取引のなかった企業からの信頼が高まって受注増加につながり、売上高は感染症の影響を受けた2020年度の26億円からV字回復し、2024年度は過去最高の35億円を見込む。「GXの取組は、我慢や負担があっては続かない。皆が社会に役立っていると実感でき、利益につながるポジティブな行動が重要。引き続きロードマップに沿って段階的にCO2削減を続けながら、今後はスコープ3についても取り組んでいきたい」と山根社長は語る。

山根教代社長が製品を手に持っている写真
山根教代社長が製品を手に持っている写真

山根教代社長

同社製品(ヘッドレスト)
同社製品(ヘッドレスト)

同社製品(ヘッドレスト)

CO2削減に向けた会議の様子
CO2削減に向けた会議の様子

CO2削減に向けた会議