事例
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経済安全保障対策としての輸出管理により
事業基盤の強化に取り組む企業
所在地 京都府京都市
従業員数 45名
資本金 1,500万円
事業内容 機械器具卸売業
株式会社光響
▶ 事業拡大に向けて輸出管理体制の整備が急務に
京都府京都市の株式会社光響は、レーザー・光学関連製品を取り扱う専門商社である。主力の卸売事業では、専門性の高いレーザー・光学関連製品を海外の約300社から仕入れ、研究機関等に販売している。自社で開発・製造している製品もあり、ビーム径や空間強度分布を測定する「ビームプロファイラ」の輸出版売、超高精密フェムト秒レーザー加工機「femt-pro」などを国内に向けて販売しており、日本のレーザー分野のフロントランナーともいえる企業である。現在、同社の取扱商品における輸出管理対象は、国内に卸すため輸入した商品の返品・修理等を理由とする生産国への返送が大半であるが、事業規模拡大に伴う返送対応の増加に加え、今後は自社製品の海外輸出も視野に入れる中で、軍事転用リスクが高いとされるレーザー製品を扱う同社にとって、地政学リスクの高まりに対応できる輸出管理体制の構築が求められた。さらに、同社は2023年にTOKYO PRO Marketに上場したこともあり、「上場企業としてふさわしい管理体制の構築が必要だった」と住村和彦代表取締役CEOは振り返る。
▶ 経済産業省「中小企業等アウトリーチ事業」を活用し、輸出管理体制を整備
こうした流れの中で、2023年に大手電機メーカーから入社した吉川達彦取締役の主導で輸出管理体制の構築に取り組んだ。「一つ間違いを犯すと取り返しがつかないことになる」と認識して取組を推進した」と吉川取締役は語る。輸出管理体制の構築に当たっては、2024年に経済産業省が国際平和及び企業の技術流出の防止を目的として実施している「中小企業等アウトリーチ事業」を活用。アドバイザーの指導の下、輸出管理に関する内部規程を作成した。また、輸出管理の社内体制も増強し、従来は管理部3名のみで規制対象の確認を行っていたところを、他部署も巻き込み8名にまで増員。取引先の審査を厳格化し、輸出管理フローについては多段階承認化することでチェック機能を強化している。体制強化を契機に、日々アップデートされる最新の輸出関連法規のモニタリングを徹底して社内に共有しているほか、従業員の法令遵守意識を高めるための社内研修にも取り組んでいる。
▶ 全社で輸出管理に対する高い意識が醸成。予測不能な世界情勢の変化に備える
一連の取組を経て、住村CEOが特に効果を感じているのは社内における輸出管理意識の高まりだという。全従業員に輸出管理の重要性が浸透し、従来は営業部門と管理部門との間で存在していた輸出管理に対する認識のそごが解消。迅速な対応を最重視していた営業部門においても正確な管理や手続きを前提とした取引を行うようになっている。昨今の地政学リスクの高まりにより、特に欧米のレーザー機器メーカーではエンドユーザー管理の要求が高度化しており、社内体制・意識共に、これらに対応する組織が構築された。予測不能な世界情勢の変化に危機感を高める同社は、中国製品が輸出入できなくなるリスクに備えて、足下では韓国や台湾から製品を確保できるよう供給網の見直しも進めている。「どのような状況にも耐え得る体制を整えることが重要だ。レーザー機器の安定供給を実現するために今後も取組を強化していきたい」と住村CEOは語る。
住村和彦CEO(中央)、吉川達彦取締役(左)、管理部阿部辰哉氏(右)
同社の取り扱うレーザー関連製品
レーザー製品の輸出前には管理担当者が入念にチェックする