③ M & A成立前後における経営統合の取組

第2-2-62図では、M & Aを実施した事業者が、買収先の経営陣や従業員との関係構築に課題感を抱えていることを確認した。ここからは、PMI 36 の取組やその有効性等について確認していく。第

2-2-64図は、PMIの取組 37 状況を確認したものである。これを見ると、「大いに取り組んだ」又は「ある程度取り組んだ」と回答している割合は、「信頼関係構築」において最も高く、「経営統合」、「業務統合」は同水準であることが分かる。

第2-2-64図 PMIの取組状況

Horizontal stacked bar chart showing PMI implementation status for three categories: (1) 経営統合, (2) 信頼関係構築, and (3) 業務統合. The chart shows percentages for '大いに取り組んだ' (blue), 'ある程度取り組んだ' (green), 'あまり取り組んでいない' (orange), and '取り組んでいない' (red).
項目 大いに取り組んだ ある程度取り組んだ あまり取り組んでいない 取り組んでいない
(1) 経営統合 (n=1,445) 21.0% 38.5% 17.5% 23.0%
(2) 信頼関係構築 (n=1,445) 33.1% 44.8% 8.3% 13.8%
(3) 業務統合 (n=1,445) 20.6% 39.7% 18.8% 21.0%
Horizontal stacked bar chart showing PMI implementation status for three categories: (1) 経営統合, (2) 信頼関係構築, and (3) 業務統合. The chart shows percentages for '大いに取り組んだ' (blue), 'ある程度取り組んだ' (green), 'あまり取り組んでいない' (orange), and '取り組んでいない' (red).

資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」

(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。

2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。

3.ここでの「経営統合」とは、経営理念や将来像、行動指針といった価値観を買収企業と被買収企業の間で統合することを指す。

4.ここでの「信頼関係構築」とは、組織・文化の融合に向けた取組を指す。具体的には、被買収企業の経営者・従業員の不安・不信感を払拭して協力を得ること、被買収企業の社外関係者(販売先・仕入先・取引金融機関・地域等)との意思疎通により関係を維持すること等を指す。

5.ここでの「業務統合」とは、事業機能(製造・調達・物流・営業)や管理機能(人事・会計・財務・法務)に関する統合を指す。

36 ここでいう「PMI(Post Merger Integration)」は、M & A成立後の一定期間内に行う経営統合作業(「狭義のPMI」)に加え、M & A成立前の取組と、狭義のPMIの後の継続的な取組を含めたプロセス全般のことを指す。2023年版中小企業白書第2部第2章第1節では、「M & Aで期待した成果を得る上で、早期の段階からM & A成立後を見据えて、PMIの準備を行うことが重要だと示唆される」と指摘している。

37 中小企業庁「中小PMIガイドライン~中小M & Aを成功に導くために~」では、PMIの取組領域について、①経営統合、②信頼関係構築、③業務統合の三つの領域に分類しており、本節においても同様の分類に基づき、分析を行った。