4. 分析結果のまとめ
価格転嫁力指標とマークアップ率のいずれの分析結果からも、中小企業は大企業と比べて価格転嫁が進んでいないという共通した傾向が確認された 66 。価格転嫁力指標と労働生産性との関係性の分析結果からは、中小企業の労働生産性は大企業と比較して低い状況にあるが、中小企業においては価格転嫁が十分に進んでいないことが、その一因となっている可能性があると考えられる。他方で、マークアップ率と経営指標との関係性の分析結果からは、適切な価格設定を行うことができている企業ほど、収益向上・設備投資・賃上げへの好循環を実現できていることが推察された。中小企業においても、正確な原価構成の把握や適切な価格交渉などを通じて価格転嫁を推進することで好循環を実現し、更なる労働生産性の向上につなげていくことが期待される。
66 両指標については、先行研究等に基づき様々な仮定を置いて推計したものであることから、分析結果については幅をもって見る必要がある。