コラム
1-1-9 団体協約制度
中小企業者は、取引に当たって、相手方との力関係から不利な条件を付されることが多い。この点、事業協同組合等(以下、「組合」という。)は、組合員の競争力を補強するための手段として、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号、以下、「中協法」という。)に基づき、組合員とその取引先事業者との間の取引価格や納入条件等の取引条件に関する団体協約を締結することができる。組合は、組合員と取引関係がある事業者に対して、団体協約を締結するための交渉の申出を行うことができ、申出を受けた当該事業者は誠意を持って交渉に応じなければならないとされており、取引条件の改善の有効な手段の一つとして期待されている。
また、中協法及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号、以下、「独占禁止法」という。)に基づき、中小企業者により構成される組合の行為は独占禁止法の適用除外となることから、本来はカルテルに該当し、認められない「最低製品価格の設定」などが可能となる。
令和6年6月には、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)の価格転嫁対策の項において、「中小企業等協同組合法に基づく団体協約の更なる活用の推進に向け、活用実態の調査や組合への制度周知に取り組む」旨が明記された。これに伴い、団体協約の更なる普及促進に向けた今後の取組を検討する上で、団体協約の知名度や利用実態の把握のために全国の組合に対し、調査を実施した。
団体協約については、組合の価格交渉力の向上につながることが期待されている。中小企業庁においても、利用実態把握に向けた調査結果等を踏まえつつ、引き続き、全国中小企業団体中央会等の関係団体と連携しながら、団体協約制度の活用促進に向けて取り組んでいく。
コラム 1-1-9①図 団体協約を活用した取引条件の改善のイメージ
協同組合X
組合員A
個別交渉及び個別契約
取引条件:○円/個
組合員B
個別交渉及び個別契約
取引条件:△円/個
組合員C
個別交渉及び個別契約
取引条件:□円/個
取引の相手方Y
組合代表者等による交渉及び組合名義での団体協約
価格転嫁のため、商品単価を5%アップ
★ポイント★
- ● 組合員と取引先事業者との取引内容を変更する際には、団体協約の活用が可能である。
- ● 団体協約締結の際には、組合員ではなく、組合代表者が取引先事業者と交渉を行うことができる。
-
● 団体協約が締結されると、当該協約で定めた内容が各組合員の契約内容に適用され、上図においては各組合員の相手方Yとの契約内容は下記記載の内容に変更される。
組合員A:○円 → ○円 + 5%
組合員B:△円 → △円 + 5%
組合員C:□円 → □円 + 5%
資料:経済産業省作成