スケールアップへの挑戦
第2部第1章では、厳しい経営環境下において、中小企業・小規模事業者が成長・発展を遂げるためには「経営力」を高めることが重要であることを確認した。中小企業・小規模事業者が「経営力」を振りながら生産性を高め、賃上げ等により人材を確保し、投資を積極的に進めながら、地域経済を先導するような企業、輸出等により外需を獲得する企業へと成長を果たすことが我が国経済・地域経済のより一層の発展につながっていく。
本章では、経済産業省「企業活動基本調査 19 」や中小企業・小規模事業者を対象としたアンケート「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査 20 」等を用いて、積極的かつ継続的に賃上げや投資に取り組むことができるような、一定企業規模への成長(以下、「スケールアップ」という。)を実現するための、中小企業の経営戦略や投資行動等について分析を進めていく。
第1節 成長する中小企業が我が国経済に与える影響
中小企業庁の研究会 21 では、「賃上げ・投資を積極的・継続的に行うには、一定の企業規模への成長が必要」と述べた上で、売上高100億円規模の企業(以下、「100億企業」という。)へのスケールアップを一つの目標水準であるとしている。
本節では、100億企業に着目した分析を通じて、中小企業がスケールアップを実現することによる我が国経済への影響を、賃上げ、域内経済への貢献度合い、輸出による外需の獲得という三つの観点から確認していく。
19 経済産業省「企業活動基本調査」は、従業員50人以上かつ資本金又は出資金3,000万円以上の企業を対象とした調査である。本調査の概要は、経済産業省のホームページを参照のこと。 https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/index.html
20 (株) 帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」:(株) 帝国データバンクが2024年11月から12月にかけて、以下の事業者を対象に実施したWebアンケート調査。以下、本章における「アンケート調査」は、本調査を指すものとする。
・全国75,000者の事業者【有効回答数:17,848者、回収率23.8%】
※調査を進める中で判明した大企業170社を除いた中小企業・小規模事業者17,678者について分析を行った。
・商工会及び商工会議所の会員である小規模事業者【有効回答数:6,910者】
21 中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 第2次中間報告書」(2024年6月)。以下、本章における「研究会」は同研究会を指すものとする。