④まとめ
本項では、研究開発の動向、イノベーション活動の取組状況、その目的や効果等について確認した。まず、我が国における企業の研究開発の動向では、中小企業と大企業共に研究開発費が増加しており、売上高に対する比率は、大企業が直近で下落に転じている中、中小企業では上昇傾向にあり取組が進んでいることを確認した。また、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、研究開発投資の実施有無別に売上高及び経常利益の推移を確認したところ、研究開発投資実施企業は非実施企業よりも、売上高及び経常利益をより高めていることが分かり、研究開発投資は、売上高の増加だけでなく、自社製品・商品・サービスの付加価値を高めること等により利益の増加にもつながる可能性が示唆された。
次に、イノベーション活動とスケールアップの関係性について確認すべく、スケール変動状況別にイノベーション活動の取組状況を見たところ、
「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、イノベーション活動に「取り組んだ」と回答している割合が高いことが分かり、イノベーション活動はスケールアップに向けて有効な戦略の一つであると考えられる。また、イノベーション活動を実施した際の連携先については、スケールが大きいほど「仕入先」、「大学等の高等教育機関」と回答した割合が高くなる傾向にあり、外部のプレイヤーと直接連携しながらオープンイノベーションに取り組んでいることがうかがえた。
研究開発・イノベーション活動による知的財産形成を進めると同時に、それらを守る取組として、知的財産保護の取組も重要である。事例2-2-7では、デッドコピー品の被害に遭ったことを契機に、知財保護に社を挙げて取り組むとともに、価格決定の主導権を握り、海外に販路を広げている企業の事例を紹介する。