第2-1-6図は、製品・商品・サービスの差別化への意識及び経営戦略策定や新規事業の検討における外部環境、すなわち市場環境への意識の有無別に、価格転嫁の状況を見たものである。これを見ると、差別化・市場環境の両方を意識している事業者は、価格転嫁が進んでいる傾向にあることが分かる。また、市場環境のみ意識している事業者は、差別化のみ意識している事業者に比べて50%以上価格転嫁ができていると回答した割合
が若干高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、価格転嫁においては製品・商品・サービスの差別化も重要ではあるものの、市場環境を意識することによる影響が大きいことがうかがえる。ターゲット市場における競合他社の動向、市場構造、仕入れ・調達の安定性などの面から、価格交渉力を有することができる市場環境であるかを分析することが重要といえる。
第2-1-6図 価格転嫁の状況(差別化への意識・市場環境への意識の有無別)
| 意識の有無 | 75%以上 | 50%以上~75%未満 | 25%以上~50%未満 | 0%超~25%未満 | 価格転嫁できなかった |
|---|---|---|---|---|---|
| 差別化を意識している × 市場環境を意識している (n=17,452) | 12.9% | 11.6% | 12.9% | 45.8% | 16.8% |
| 差別化を意識している × 市場環境を意識していない (n=2,342) | 13.0% | 7.5% | 10.8% | 44.7% | 23.9% |
| 差別化を意識していない × 市場環境を意識している (n=530) | 13.8% | 10.0% | 8.9% | 43.4% | 24.0% |
| 差別化を意識していない × 市場環境を意識していない (n=964) | 9.9% | 6.7% | 8.5% | 48.2% | 26.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. ここでの価格転嫁の状況とは、過去1年間における製品・商品・サービスの生産や製造、あるいは提供等にかかる費用全体の変動分について、どの程度、販売価格に転嫁できたか聞いたもの。販売価格への転嫁について、「転嫁不要」、「分からない」と回答した事業者を除く。
2. 「差別化を意識している」は、製品・商品・サービスに関して競合他社に対する差別化として重視する要素を聞いた設問で「特に差別化を意識していない」以外を回答した事業者の合計。「差別化を意識していない」は同設問で「特に差別化を意識していない」と回答した事業者。
3. 「市場環境を意識している」は、経営戦略策定や新規事業の検討で重視する外部環境を聞いた設問で「特に外部環境は重視していない」以外を回答した事業者の合計。「市場環境を意識していない」は同設問で「特に外部環境は重視していない」と回答した事業者。