事例
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積極的なM&Aにより買収先を成長させながら、グループを拡大する企業
所在地 石川県中能登町
従業員数 779名(グループ計)
資本金 5,000万円
事業内容 専門サービス業
(他に分類されないもの)
マルオリグループ株式会社
▶ 付加価値の高い商品生産体制への転換と市場変化への対応が課題。積極的なM&Aを進める
石川県中能登町のマルオリグループ株式会社は、1937年創業の丸井織物株式会社(以下、「丸井織物」)を中核とするホールディングス企業である。丸井織物は繊維製品の製造を手掛け、大手繊維メーカーからの生産委託による織物専門で堅調な経営を続けてきた。しかしながら、繊維産業におけるグローバル競争の急速な加速と将来的な市場縮小が見込まれる中で、委託による織物専門から脱却し、商品の高付加価値化に向けた川上・川下産業への進出と、市場の変化に対応していくための新たなビジネスモデル構築を課題と捉えた。同社は、企画から生産、販売までを一貫して手掛ける体制への転換による付加価値向上と、ものづくりとITの融合によるBtoCビジネスへの参入を目指す経営方針を打ち出し、その実現に向けて積極的なM&Aを戦略として掲げた。
▶ 11社を買収してグループ化。経営統合の取組により、買収先の成長を実現
2013年から2024年までに買収した企業は事業買収を含めて11社に及ぶ。繊維事業の垂直統合として繊維染色加工企業や最終商品を扱うユニフォームアパレル、販路の多角化に向けたEC販売の強化を目的としたIT企業など買収先の業種・業態は多岐にわたる。経営統合に当たっては、同社の宮本智行専務が買収先の経営を主導。3か年の中期経営計画を策定し、買収先企業の経営陣に対して洗い出した改善点や新たな戦略について丁寧に説明し、理解を得ながら統合を進めた。計画策定の考え方について「事業が黒字でうまくいっている場合は新事業を立ち上げて更なる事業拡大を図る。赤字の場合は、コストダウンも含めた収支計画を策定し、何よりもまずは黒字化を実現する」と宮本専務は話す。例えば、2019年に子会社化したスポーツウェア製造を手掛ける企業は、高い技術力がありながら買収当時は材料支給型のOEMのみに徹していたところ、グループ参入をきっかけに自社で材料を仕入れ、製品企画・販売まで手掛けるように変革。結果、売上高は4年間で4億円から25億円にまで拡大した。
▶ 多彩なシナジー効果で買収先と共に成長、グループ規模を拡大する
M&Aによるグループ化は売上げや利益の単純な積み上げだけでなく、グループ企業間で多彩なシナジー効果を実現している。ITのバックグラウンドを有する宮本専務が主導して2015年に開始した「UP-T(アップティー)」は、オリジナルTシャツを1着から発注できるサービスであり、丸井織物の技術力とECのシナジーにより消費者ニーズを捉え、同グループのBtoC事業への参入を実現。同社はIT企業を買収して更に同事業を拡大したことで、売上高は事業開始当初の約5千万円から2024年には約55億円まで増加しており、現在ではグループの大きな収益源の一つとなっている。このようなシナジー効果の積み重ねもあり、2012年に丸井織物だけで約66億円だった売上げは2024年にグループ全体で約300億円に達した。「繊維事業の持続的成長とともに、産業資材事業での新規ビジネスの創出、ITなど成長産業への積極投資を行い、2026年にグループ全体で売上高500億円を目指す」と宮本専務は語る。
宮本智行専務
テックススタイルブランド「NOTO QUALITY」
UP-T(アップティー)製造現場