事例
2-2-7
知財戦略により自社製品の保護と脱価格競争を実現し、成長する企業
所在地 岐阜県郡上市
従業員数 30名
資本金 1,200万円
事業内容 プラスチック製品
製造業
八幡化成株式会社
▶ 自社製品を開発するも、デッドコピー品の被害に遭い、価格競争に巻き込まれる
岐阜県郡上市の八幡化成株式会社は、キッチン雑貨やガーデン用品といった、デザイン性の高いプラスチック製雑貨のメーカーである。創業当初は生産委託による製造が主であったが、付加価値向上のため1990年代から自社での製品企画・製造とブランド展開を開始。同社の高垣克朗社長は、「『世の中にプラスチック製品がありふれている中、プラスチックには見えないサブライズ感のある製品を作っていきたい』という先代社長の思いがあった」と話す。1993年に開発した最初の自社製品で、段ボールを模した波板形状が特徴的な「ウェイビー」は、通常のプラスチックバケツとは異なる独特なフォルムが評価され、全国のホームセンターや量販店で取り扱われるようになった。しかし、プラスチック製品は加工が比較的容易であることもあり、程なくして国内の競合他社による安価なデッドコピー品が出回り、苦労して生み出した製品が模倣され価格競争に巻き込まれてしまった。
▶ 自社製品を守るため、知財保護に社を挙げて取り組む
同社は「ウェイビー」のデッドコピー被害を契機に、自社製品の知財保護に重点的に取り組む。実は「ウェイビー」についても意匠権を申請していたが、権利の登録以前に発売してしまったためデッドコピー品が出回ってしまった。そこで同社は、「何よりもまず知財保護を」の方針を掲げ、製品開発後は弁護士に相談することを徹底し、おおよそ7割の製品において意匠権や特許権等の知的財産権を取得。また、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)や大手商社の知財担当者の指導を得ながら、海外での知財保護にも取り組んでいるという。
知的財産権の権利行使に当たっては、まずは模倣品の情報をキャッチする必要があるが、同社では協力会社や同業者からの情報提供に加え、自社製品の特徴を象徴するキーワード検索等のネットパトロールを行っている。地道かつ時間が掛かる取組であるが、高垣社長と同社従業員が総力を挙げて取り組んでいる。「製品のデザイン・企画から製造までを一気通貫で取り組んでいるからこそ、当社の社員には製品を我が子のように大事にする熱い思いがあり、『模倣は許さない』という強い意識につながっているのだと思う」と高垣社長は語る。
▶ 知財保護で価格決定の主導権を握り、海外に販路を広げる
同社は1994年以来グッドデザイン賞を7度受賞しているなど、デザイン性の高い製品ラインナップを有していることと、それらの多くを知的財産権によって保護することで価格競争に陥らなくなった。その効果として、流通先は従来の量販店中心から、「価値あるものを着実に広める」という同社の考えを共有できる専門店やインテリアショップを選べるようになっている。また、国内市場が頭打ちとなる中、欧州の展示会に継続して出展するなど、熱意を伝えることで海外でも同じ思いのパートナーを増やしている。この10年間で売上高は新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前のピークを超え、海外輸出はおおよそ3倍に増加した。「海外のディストリビューターも覚悟を持って、当社製品を取り扱い販売している。製品の作り手である我々が模倣品を放置するわけにはいかない。今後も知財保護に一層取り組んでいく」と高垣社長は語る。
高垣克朗社長
令和6年度知財功労賞表彰式の様子
(Fontanaジョウロ)