事例

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海外ニーズをつかんだ輸出拡大と、
地元農家との共存共栄により成長する企業

所在地 茨城県かすみがうら市
従業員数 70名
資本金 1,000万円
事業内容 飲食料品卸売業

株式会社ひのでや

▶ 将来の国内市場の縮小に備え、輸出を開始。成長に向けた布石を打つ

茨城県かすみがうら市の株式会社ひのでやでは、地元農家から仕入れたサツマイモなどの農作物の卸販売と、農作物の加工販売を手掛ける企業である。同社の生サツマイモ仕入量は国内有数の規模を誇り、祖業であるサツマイモ卸販売から、菓子やスイーツなどの加工品製造や直販店での販売など、国内で事業を展開してきた。しかしながら、人口減少等を背景に今後日本のマーケットは縮小が見込まれ、国内一本足の経営では中長期的に成長が制限されることは、同社であっても例外ではない。同社の瀧雄太社長は「現状、国内での事業展開は順調ではあるが、今後人口が減少し国内市場が縮小してから『いざ海外』では間に合わない。早期に取組を開始し、レールを作っておく必要がある」と先を見据え、2018年にサツマイモの輸出を開始した。

▶ 長期輸送による商品ロスを解消し、緻密なマーケティングでニーズをつかんで輸出を軌道に

輸出開始に当たって、長期輸送による商品の劣化とロスの発生に直面した。瀧社長は「コンテナ内で約80%が腐食やカビでロスとなってしまった」と振り返る。同社は試行錯誤の中で独自の加工方法を編み出し、出荷前に加工を施すことで、輸送時のロスを2~3%に抑制することに成功した。また、現地のニーズを汲み取ったマーケティングも重要である。同社の主な輸出版路は海外に出店する日系スーパーへの供給だが、瀧社長は卸売先の企業任せにせず自ら現地を歩き回り、現地商品の特徴や販売形態の差異などの情報収集を進めながら、求められる要素とそれを訴求するためのパッケージに至るまで緻密なマーケティングを実施した。その結果、健康志向が需要獲得のカギを握ると判断し、砂糖を使用する加工品ではなく、芋本来の味がいかにする焼き芋を中心にする戦略で勝負に出た。「焼き芋の美味しさが認められれば、次に生芋や加工品も売れていくだろう」との考えから、焼き芋を切り口に生芋を含むサツマイモ商品群を徐々に展開。海外販路は東南アジアや豪州から始め、近年ではカナダへも供給を拡大し、輸出の初年度に3%だった売上高に占める輸出高の割合は現在では約15%にまで上昇した。

▶ 地元農家と共存共栄する仕組みをベースに好循環を実現

加えて、「当社が国内外の需要をつかめているのは、ひとえに美味しい農作物を売ってくれる生産者のおかげである」との考えから、瀧社長は「地元農家との共存共栄」を常に意識している。国内外の両輪で安定成長する基盤を築くことができたのは、農作物の質と量の確保の課題を、農家との二人三脚で追求してきた取組によるところが大きい。同社は、農家が運営しやすい柔軟な取引条件の設定や、負荷が大きい収穫作業のカバーや栽培方法の指導といったサポートを実施。さらに、買付単価は、肥料やエネルギー費等のコスト高騰の反映はもちろん、利益配分を念頭に置いて設定している。これらの取組を通じて、取引先農家の安定的な経営と生産力の向上を実現。農作物の質と量を確保しながら、新たなマーケット開拓により収益力を高め、それを農家に還元するという好循環を生み出している。「生産者に還元するための仕組みづくりはある程度できた。現状70人の社員を5年以内に100人に増強し、生産者と共に成長していくための好循環を一層大きくしていく」と瀧社長は語る。

瀧雄太社長
瀧雄太社長

瀧雄太社長

マレーシア向け商品パッケージ
マレーシア向け商品パッケージ
マレーシア向け
商品パッケージ 同社商品の販売ブース(タイ)
同社商品の販売ブース(タイ)

同社商品の販売ブース(タイ)