事例

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古木と古民家を活用した新規事業で
サーキュラーエコノミー実現に取り組む企業

所在地 長野県長野市
従業員数 18名
資本金 3,000万円
事業内容 総合工事業

株式会社山翠舎
▶ 捨てられていく木材に対しての「もったいない精神」

長野県長野市の株式会社山翠舎は、建具店として1930年に創業し、住宅や店舗などの一般建築を行う企業である。現在は古木(古材)を活用した店舗内装の設計・施工を強みとし、古民家の移築・解体・再生事業なども手掛けている。山上浩明社長は、幼い頃から家業である同社で木材の加工現場を目にし、木材への愛着が強かったことや、環境問題への関心が高かったことなどから、建築現場で古い建物等が当然のように解体され、そこで使われていた良質な木材が捨てられていくことに「もったいない」と問題意識を抱いていた。山上社長は2005年に同社へ入社して以降、何とかして古木を利活用する取組と事業を両立できないかと考えビジネスモデルを模索していた。

▶ 既存事業の延長線上で、古木を利活用してビジネスモデルを構築

古木は一本一本形が違うことなどから取扱いが難しい建材だが、同社ではかつて業界で先駆けて輸入古木を用いた内装施工を手掛けており、古木に関するノウハウや施工技術が蓄積していた。山上社長はここに着目し、古民家解体の際に生じる古木の買取り・販売を行う事業を2006年に開始した。同事業の開始当初は販路開拓に苦戦したが、既存の一般建築事業にて下請から元請への転換を狙って設計部門を強化していたことが奏功し、単に古木を販売するだけでなく、古木を使った設計から施工まで一貫した提案により受注を獲得できるようになった。2009年には古木を活用した店舗デザイン事業も立ち上げ、古木をいかした空間のブランディングを強化することで、同社の技術力により古木にしか出せない付加価値を引き出し、需要を創出する取組を進めている。「元々工務店という建築分野で技術力はあったため、その延長線上に古木の利活用を位置付け、相乗効果を狙った事業展開が成功につながった」と山上社長は現在までの道のりを振り返る。2013年には古民家の移築再生事業も始めるなど事業領域を徐々に拡大し、サーキュラーエコノミーの観点では「廃材を出さない」方面への事業展開も進めている。

▶ 環境意識の高まりを追い風に、古木・古民家の更なる需要創出・国内外での販路拡大へ

同社の取組は古木の循環を通じて環境負荷軽減につながるサーキュラーエコノミー実現と、古民家の利活用による空き家減少・地域活性化という社会問題解決の使命も帯びたことで注目度が上昇。2015年には長野県大町市に日本最大の古木倉庫兼工場を開設、古木を活用した設計施工の実績は2016年に累計300件を超えた。足下では600件超と順調に拡大、年間50~60件を手掛けるほどに成長している。同社の発展には古木・古民家の更なる需要創出が不可欠だが、持続可能性やSDGsが重視される時代が到来し、古木が生み出す空間の雰囲気の良さだけでなく、古木・古民家の再利用による環境負荷軽減の観点での引き合いも増えているという。同社は古木・古民家を活用したまちづくりまでを提案する「古民家デベロッパー」を目指し、全国の古民家とその古木が捨てられることなく循環する世界を構想している。「全ての古民家が解体されない世界を築きたいが壊されるのが現実。それならば全部回収して全部再利用されるのが理想だが、国内では需要が限られる現実もあり、市場を海外に広げることも挑戦中。自社の事業が真似されるくらい注目され、古木の活用が進むことを願っている」と山上社長は語る。

Portrait of Hiroaki Yamagami, President of Yamagami-sha Co., Ltd.
Portrait of Hiroaki Yamagami, President of Yamagami-sha Co., Ltd.

山上浩明社長

Interior view of a large warehouse storing numerous stacks of old wood.
Interior view of a large warehouse storing numerous stacks of old wood.

古木を保管する倉庫

Interior design example of a shop or cafe using old wood for the counter and shelving.
Interior design example of a shop or cafe using old wood for the counter and shelving.

古木を活用した設計・施工事例