2. PMI実践ツール
まず、「PMI分析ワークシート」は、「M & Aの目的」と「譲渡側等の現状」を確認し、優先課題と対応方針を整理するツールである。PMIの拠り所となるM & Aの目的及び成功を定義するとともに、様々な分析を通じて譲渡側・譲受側の現状を把握し、優先すべき課題・対応方針を整理するために活用されることを想定している。
その上で、「PMIアクションプラン」は、具体的な取組(ToDo)を計画し、スケジュールを管理するツールとなる。「PMI分析ワークシート」により整理した優先課題と対応方針を基に、「いつ・誰が・何を行うか」について具体的に計画し、スケジュール・担当者・取組(ToDo)を一覧化し、進捗を管理するために活用されることを想定している。
さらに、「統合方針書」は、M & Aの目的、PMIでどのようなことに取り組んでいくかを社内外の関係者に説明するツールである。譲渡側・譲受側におけるM & Aの目的や現状の課題を踏まえた統合基本方針、PMI推進体制、会議体の位置付け等を言語化し、譲渡側・譲受側の社内の関係者(経営者・従業員等)や社外の関係者(取引先等)に共有・説明するために事業者が活用可能となっている。
これらのツール、活用ガイドブック及び事例集の活用により、譲受企業及び支援機関におけるPMIの理解・取組を促進し、M & Aによる中小企業の成長が促進されることを目指している。
3. PMIへの支援
中小企業庁では、中小企業が支援機関の支援を受けてPMIに取り組めるよう、令和6年度補正予算「中小企業生産性革命推進事業」の内数として措置された「事業承継・M & A補助金」において「PMI推進枠」を設け、PMIに係る専門家費用や設備投資を支援することとしている。
今後、中小企業においては、M & Aの成立を「ゴール」とせず、その後の成長に向けた「スタートライン」とするために、必要に応じて支援機関の力も借りつつ、「PMIガイドライン」や「PMI実践ツール」等を参照しながら、PMIに取り組むことを期待したい。
また、「中小企業におけるM & A後の取り組み調査 38 」によれば、従業員21人~50人の企業では、PMIの際に月10万円以上支出する意思があると答えた企業が半数に上るなど、一定程度のコストをかけて支援機関を活用することも視野に入れていることがうかがえる。支援機関においては、「PMIガイドライン」や「PMI実践ツール」等を参照しつつ、中小企業に対するPMI支援を行うノウハウを獲得することが重要となる。
最後に、中小企業のPMIに関する支援に積極的に取り組んでいる支援機関の事例を紹介する。
38 「令和6年度中小企業活性化・事業承継総合支援事業(中小企業におけるPMIの実施効果等の実態の解明に向けた調査事業)」(委託先: PwCコンサルティング合同会社)において、2024年11月26日~2024年12月20日にかけてM & A実施経験のある中小企業等を対象に実施したもの。【有効回答数: 846件、有効回答率: 5.5%】