事例
2-2-6
産学官連携で技術・ノウハウを磨き、
事業の高度化を実現し成長している企業
所在地 東京都墨田区
従業員数 48名
資本金 2,000万円
事業内容 金属製品製造業
株式会社浜野製作所
▶ 多品種少量生産へ舵を切り、価格競争を生き抜く。更なる成長を見据え、開発領域への進出を決意
東京都墨田区の株式会社浜野製作所は、精密板金、金型、プレス、機械加工などの金属加工製品の設計・製造とそれらの技術を基盤としてロボット・装置の設計・製造などを手掛ける企業である。1980年代以降、大手企業が量産品の生産拠点を海外へシフトしたことで、加工を主体とする町工場が厳しい価格競争にさらされる中、2000年頃に当時の社長であった浜野慶一会長は精密板金の多品種少量生産に対応できるよう新たな設備を導入した。また、多品種少量生産の分野でも、同社は後発であり、地方の同業他社は24時間営業で製造している中、住宅の多い都心部では夜間に機械を稼働することが難しく、生産量や価格で戦っていくことは容易ではない。このような状況を踏まえ、浜野会長は、将来的にはより情報の上流の製品開発領域への挑戦が必要であると考えた。
▶ 産学官連携で新たなものづくりに挑戦し、技術力とノウハウを培う
開発領域への進出に当たって、「待っていても仕事は来ない」と考え、実績を作るべく産学官連携に取り組んだ。同社は2009年に墨田区、早稲田大学などと提携し、電気自動車「HOKUSAI」を開発したほか、2012年には地域の町工場が技術とノウハウを持ち寄って、大学や研究機関の指導の下、深海無人探索機を開発する「江戸っ子1号」プロジェクトに参加した。2014年には「これまでの挑戦の中で培ってきた技術やノウハウをいかして、新たな付加価値を生み出していきたい」との考えから、当時は企画系部署にいた小林亮社長を中心にものづくりの実験工房として「ガレージスミダ」を開設。「ガレージスミダ」は、「こういうモノを作りたい」という相談事に対して、同社のノウハウ・技術力を総動員し実現に向けた活動を10年以上続けており、新たなものづくりに挑戦し製品開発のノウハウを蓄積してきた同社を頼りに、「ガレージスミダ」にはベンチャー企業をはじめ、多くの企業から相談が持ち込まれる。持ち込まれた相談事に対して、同社だけで対応できないものは同業他社とも連携を進めながら、日々新たなものづくりの可能性を追求している。
▶ 売上げの7割が開発案件、優秀な人材も多く集まる
同社が開発領域に進出する以前は受注の大半が図面どおりに部品を加工する案件であったが、近時は大企業や研究機関等から開発案件の受注が増加しており、売上高の約7割が開発案件である。さらに、まだ見ぬものづくりに挑戦できるという同社の魅力は、優秀な人材の獲得にもつながっている。技術人材ではロボットコンテストに参加した経験を持つ工業高等専門学校卒業生や、営業や企画、バックヤードでもいわゆる高学歴の人材が集まっており、同社の技術力をいかした案件への対応力が厚みを増している。2024年10月には、一橋大学の学生時代に同社へ訪問したことをきっかけに入社した小林氏が社長に就任。「環境変化の激しい今、町工場は生き残りの岐路に立たされている。設計・製造の両面においてエンジニアリング力を高め、0から1を生み出す『創造業』としての力を蓄えていく必要がある。今後は、仲間と共に『次世代の町工場』の姿を模索し、ものづくりの在り方を発信・啓発できるような『ガレージスミダネクスト』といえるような拠点をつくりたい」と小林社長は語る。
小林亮社長
(撮影者:香川賢志)
ガレージスミダ(2016年当時)
新たな相談事が連日寄せられる
(撮影者:香川賢志)