事例
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『身の丈DX』により、生産性向上と職場環境改善を実現した企業
所在地 熊本県嘉島町
従業員数 30名
資本金 1,000万円
事業内容 パルプ・紙・紙加工品製造業
株式会社倉岡紙工
▶ 4K職場からの脱却と生産性向上に向けたDX推進を決意
熊本県嘉島町の株式会社倉岡紙工は、1965年創業の紙製パッケージや美粧段ボールなど紙製品の企画・設計から製造までを手掛ける企業である。3代目の倉岡和徳社長が入社した2013年、工場は老朽化が進み、「暗い・きつい・汚い・危険」といういわゆる4K職場であった。入社当初は製造現場に配属され、現場で山積する課題の洗い出しや分析を進めてきた倉岡社長は、熊本県で若く優秀な人たちが働く職場をつくりたいという思いから、職場環境改善に着手。さらに、下請受注中心の事業構造からの脱却や、DXによる生産性向上を志向する中で、2016年の熊本地震による本社工場半壊をきっかけに工場建て替えを決意し、DXによる職場環境改善と新規需要獲得に向けた取組を加速させることとなった。
▶ 社内のボトルネックを特定し、できるところから必要最小限の取組を行う「身の丈DX」で作業負担を削減
新工場建設に向けては、プロジェクトごとに若手従業員を抜てきし、DXを推進。まず、熊本県や熊本県産業技術センターの支援を受けながら、在庫管理や位置情報の把握に労力が掛かっていた約3,000個の木型に、RFIDタグを付けるIoT管理に取り掛かった。また、旧工場では、1枚5kgほどある木型を階をまたいで運んでいたが、新工場では木型の保管場所と使用機を同一フロアに配置したほか、紙の型抜き後に不要部を取り除く「カス取り作業」や梱包作業といった、人手の掛かる重労働となっていた作業工程も機械化し、作業負担削減にも取り組んだ。資金や人材といったリソースが限られる中、多額の投資をして全てを一挙に解決しようとするのではなく、「まずは従業員のペインを取り除く」という考えに基づき、社内のボトルネックを特定し、できるところから必要最小限の取組を行う「身の丈DX」が成功のカギとなった。
▶ 仕事と人材が集まる会社になり、更なる成長に向けAI活用へ
木型のIoT管理により木型を探す時間がゼロになり、また、機械化により「カス取り作業」は時間が3分の1、梱包作業は従来3人で行っていた作業が一人で可能になるという作業負担削減を実現。より付加価値の高い仕事に向き合うリソースが生まれ、職場環境改善も進んだことで、業績向上や人材確保への好循環につながっている。デザイナーを採用してパッケージの企画部門も新設したことによって、デザインから製造までの一貫対応が可能になり、土産物や産地直送品の箱など新たな受注も獲得。DXや新規需要獲得に向けた取組の結果、顧客社数は新工場稼働前の約20社から約100社超に、従業員数は2013年時点の13人から30人に増加した。かつては印刷会社からの下請が100%に近かったが、現在はエンドユーザーからの直接受注が半数以上を占め、自社のデザイン企画を伴う受注も30~40%に上るまでにビジネスモデルは変貌。「次の目標はAIの活用。会社を更に成長させ、紙パッケージのイノベーションや、印刷・紙工業界の地位向上にも挑戦していきたい」と倉岡社長は語る。
倉岡和徳社長
同社の新工場
木型のIoT管理