②透明性の高い組織運営の効果
第2-1-20図は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」への取組状況別に人材の定着率を見たものである。
本章では、定着率の分析軸を「7割以上」、「3割以上7割未満」、「3割未満」としている 9 。いずれの取組についても「取り組んでいる」事業者
では、定着率「7割以上」と回答した割合が比較的高いことが分かる。また、「取り組んでいない」事業者では定着率「3割未満」の割合が比較的高い。前述の先行研究 10 のように、透明性を高めることで経営を身近に感じられること等を理由として従業員のモチベーションが高まったことが、定着率にも寄与している可能性がある。
第2-1-20図 従業員の定着状況(組織運営の透明化への取組状況別)
(1) 従業員への経営理念・ビジョンの共有への取組状況
| 取組状況 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=14,390) | 52.6% | 34.2% | 13.2% |
| 取り組んでいない (n=4,379) | 48.5% | 32.7% | 18.8% |
(2) 従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有への取組状況
| 取組状況 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=11,698) | 52.9% | 33.6% | 13.4% |
| 取り組んでいない (n=7,071) | 49.6% | 34.2% | 16.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上7割未満」は、「3割以上5割未満」、「5割以上7割未満」と回答した事業者の合計。
9 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」(2024年10月25日)では、就職後3年以内の離職率について、事業所規模5人未満では新規高卒就職者62.5%・新規大卒就職者59.1%、事業所規模5~29人では新規高卒就職者54.4%・新規大卒就職者52.7%、事業所規模30~99人では新規高卒就職者45.3%・新規大卒就職者42.4%と発表している。
10 日本政策金融公庫総合研究所(2015)