事例:福山ゴム工業株式会社
広島県福山市の福山ゴム工業株式会社は、建設機械のゴムクローラ等の工業用ゴム製品に強みを持つゴム製品製造業者である。40年以上にわたって部品を調達してきた地域の協力会社である有限会社新坂加工が会社の譲渡を希望していると聞き、サプライチェーン事業承継に踏み切った。
有限会社新坂加工は、もともと同社の元社員が独立創業した企業ということもあり、資本関係はなかったものの、同社の職員を出向で派遣するなど密に連携が図られていた。有限会社新坂加工の経営者が70歳という年齢をきっかけに引退するに当たって、日頃の連携関係を背景に、事業承継について同社に相談した。同社としては、社員を派遣させていたことにより経営内容や設備、人的資本等もある程度把握できていたことから「黒字経営の良い会社にできると思った」と松岡伸晃社長が語るように、事業承継に向けて前向きに取り組み始めた。
事業承継の交渉は、広島県事業承継・引継ぎ支援センターに相談して進め、資産の評価額や承継の進め方等について助言を受けたことで、トラブルなく、M&Aによる事業承継を実現した。
実際に承継した後には、承継先の現場改革を進め、原価低減に向けた作業の見直しはもちろん、清潔なトイレへの改修等、細かい職場環境も含めて工場全体を見直した。その結果、社員の労働環境や待遇の改善によりモチベーションアップが図られ、生産する商品の不良率も大幅に低減した。また、同社とは約50km離れた遠隔地という立地により、災害時の事業継続計画(BCP)の観点からも有効に機能している。
サプライチェーンが強固になり、部品の生産・供給をコントロールしやすくなったこともあり、今後も時代の変化に合わせてグループ全体での事業拡大を目指していけるという。さらに、承継先については将来的な経営幹部の育成の場としても活用を見据えるなど、今後も更なるシナジー効果が見込まれている。
松岡伸晃社長
同社のロゴマーク
同社の従業員